東京TSネットの活動内容

更生支援コーディネート

罪に問われた障害のある人への支援を担う
「更生支援コーディネーター」の派遣を行うと共に、
コーディネーターの養成や支援の質を
向上させるための取り組みを行っています。
また、このような取り組みが各地で広がるよう
普及啓発を行っています。

更生支援コーディネートとは

障害のある人が刑事事件に至る背景には、障害があるがゆえに生きづらさを抱えていたり、本人を支えるつながりが希薄だったり、適切な支援等につながっていなかったりといったことが多くあります。
「更生支援コーディネート」は、罪に問われた障害のある人に「更生支援コーディネーター」という福祉や心理の専門職を派遣し、本人との面会等を通じて、その人が事件にいたってしまった背景や本人の抱える困難などについてアセスメントを行います。それを踏まえて、その人がその人らしく地域で暮らせるために必要な支援や具体的な支援先を考え、「更生支援計画」と呼ばれる計画を立案します。
更生支援計画は、計画書という書面や作成した更生支援コーディネーターの証言という形で刑事手続きの中でも参照され、本人が社会復帰したときの支援体制を実現していくために用いられます。
その後、本人が社会に戻ってきた時には、更生支援計画書に基づき、実際に本人を地域の様々なサービスやコミュニティにつなげていきます。こうした一連の活動を通して、罪に問われた障害のある人がより生きやすい生活を獲得していくことによって、結果として犯罪を含むトラブルからも遠ざかっていくことが活動の目標です。

多くの方に
更生支援コーディネートへ
つながっていただくために

障害のある方が逮捕されてしまったとき、家族や支援者の方にとっても、本人がどうなるのか、周囲の人達はどうしたらよいのかと悩まれることもあると思います。こうした家族や支援者の方を対象に、相談窓口を開設しています。こちらは、相談フォームに入力いただいた上で、電話相談に対応するものです。
現在、私たちが実施している更生支援コーディネートは、現在、罪に問われた障害のある人の事件を担当する弁護人からの申し込みが必要になっています。そのため、担当弁護人が支援の必要性に気付いていないケースでも、周囲の方に相談窓口をご活用いただくことで、一人でも多くの支援を必要としている方に更生支援コーディネートへとつながってほしいと考えています。

更⽣⽀援コーディネーターの
養成

更⽣⽀援コーディネーター養成講座

更生支援コーディネーターとして活動するために必要な知識等を身につけてもらうため、例年夏期に「更生支援コーディネーター養成講座」を開催しています。
受講については、相談支援業務等の経験をもった福祉専門職で、週1日程度更生支援コーディネートの支援活動ができる方を対象としています。
養成講座では、更生支援コーディネーターの活動のポイントや理念、活動のために最低限必要な刑事手続きに関する知識等に関する講義を行います。その上で、事例を用いた演習を行い、グループワークを通して実際に更生支援計画を立案する体験をします。
さらに、実際の裁判をイメージした法廷教室にて、更生支援コーディネーターとして証言をしてもらう模擬証人尋問を行うなど、実際の活動に近い形の研修を受けることができます。

※養成講座の実施日程やスケジュールについては、実施前にメルマガ・SNS等にて告知いたします。

養成研修の受講者の声

隠村美子さん

臨床心理士としての経験はありましたが、福祉や司法については知識不足でしたので、更生支援コーディネーターをできるのか不安をもっていました。しかし、養成研修を通じて知見を得ることができ、その不安は払拭されました。また、裁判を想定した証人尋問の実演は、その後、実際に証人尋問に立ったときにとても役立ちました。養成研修を受講して、更生支援をするために必要な知識と考え方、そして何よりもその理念にふれて、共に貢献していきたいと思いました。(おのむら・よしこ)

青木彩香さん

更生支援コーディネーター養成研修のなかで印象に残ったプログラムは、模擬裁判です。更生支援コーディネーターが出廷することは、対象者の人生の岐路に立ちあうことです。自分の発言が対象者の人生に影響する怖さと向き合う時間となりました。また、更生支援コーディネーターは、対象者だけではなく、対象者にかかわるすべての方々に、更生支援計画の必要性が伝わるよう、伝える力が必要であることを身に染みて感じました。(あおき・あやか)

更生支援コーディネーターの
質の向上

支援検討委員会

月に1回、障害に関わる様々な立場の方や専門職が集まり、実際のケースについて検討を行う委員会を開催しています。支援検討委員は、下記のとおり、医師、心理職、研究者、当事者の親などから構成されていて、ケースが抱える課題の焦点化、アセスメントにおける多角的な視点の提供、実際の社会資源に関する知識、更生支援計画作成のポイントやコーディネートの進め方などについて、多方面の視点と専門性を生かしたアドバイスを得ることができます。実際にケースを受任している更生支援コーディネーターは、受任中に必ず1回はこの委員会にてケース検討を受けてもらうことで、多くの気づきや情報を得て、実際のコーディネートに生かしてもらうことで、支援の質を担保できるようにしています。

  • 【検討委員】
  • ・宇野洋太(よこはま発達クリニック 副院長)
  • ・門下祐子(京都教育大学教育創生リージョナルセンター機構総合教育臨床センター講師)
  • ・佐々木康栄(公認心理師/臨床心理士/よこはま発達クリニック)
  • ・志村陽子(おおたTSネット代表/知的障害者の親/保護司)
  • ・掛川直之(立教大学コミュニティ福祉学部准教授)
  • ・冨樫恭平(横浜市発達障害者支援センター相談員)

 
 

更生支援コーディネーター継続研修

更生支援コーディネーターは、よりよい支援を実現するために、「更生支援コーディネーター継続研修」を年1回受講します。司法福祉に関する研究を行っているゲスト講師をお招きしたり、実際にケースを担当したコーディネーターに登壇してもらい、事例について検討します。
近年の継続研修では、相談者と面接者との会話が行われた後、その会話について会話するリフレクティング・チームを置き、チームの会話を相談者が聞くといった「リフレクティング・プロセス」を用いた研修を行っています。それ以外にも、ゲスト講師を招いてアセスメントの視点を増やすことを目的とした任意研修を実施するなど、コーディネーターの質の向上に努めています。

更生支援コーディネーター継続研修の写真

継続研修の受講者の声

鴨澤真広さん

継続研修のテーマはリフレクティング。 事例提供者と講師の間で質疑が行われ、 その後グループに分かれて本人や家族、弁護人、支援者の立場で事例を検討しました。 さまざまな意見が出され、 自分だけでは導き出せないような気づきがありました。経験を積めばこそ、視野の狭さを感じることがあり、一つの考えにこだわると、 なかなか抜け出せないことがあります。ともすれば独りよがりになりがちな相談支援を行ううえでも多様な視点にふれられた貴重な一日でした。(かもさわ・まさひろ)

澤 麻衣子さん

定期的に継続研修に参加できることで、養成研修の内容の理解力をさらに深めることができると思います。継続研修の内容はリフレクティングを用いた事例検討でした。仕事柄、事例検討には参加したことはありましたが、リフレクティング自体が初めての経験でしたので、連想も広がり新たな知見を得ることもでき、とても勉強になりました。そのリフレクティングを基にして、さらにコンサルテーションを進めていきました。グループごとに異なる専門性を持つ方が参加をされていたので、多職種の方の視点もたくさん知ることができて新しい発想や気づきも得られました。とても良い機会だと思います。(さわ・まいこ)

更生支援コーディネーター座談会

2か月に1回、更生支援コーディネーターが集まり、それぞれの経験や悩みなどを自由に話して共有する場です。ケースを受任する上で、難しかった点やうまく進んでいること、事務的なことなど、どんなことでも相談できます。司法福祉は、まだ新しい分野ですので、ケースについて身近に話を聞いたり相談できる機会は多くありません。実際にケースを担当しているコーディネーターから情報を得たり、率直な話を聞くことで、コーディネーター同士の横のつながりができ、よりスムーズな支援の実現や質の向上にもつながります。

更⽣⽀援コーディネーターの
普及

更生支援コーディネート実践者研修

罪に問われた障害のある人への支援は、全国的にもニーズが高まっています。しかし、実際に罪を犯した障害のある人の支援に取り組んでいる例は多くなく、人材の育成が課題となっています。
東京TSネットでは、更生支援を担う人が増え、各地に広がっていってほしいという思いから、更生支援コーディネーターの養成を内容とした更生支援コーディネート実践者研修を各地で行っています。
当法人では、2013年から更生支援コーディネーターの養成システムの構築や運用をしてきました。この中で培ってきた知見を、できる限り全国の様々なところで活用していただきたいと考えています。
これまでに各地の自治体や社会福祉士会等で講師として派遣いただき、実践者研修を行ってきました。同研修の実施を検討いただける場合には、是非、まずはメールにてお問い合わせください。

書籍『更生支援計画をつくる 第2版』

『更生支援計画をつくる: 罪に問われた障害のある人への支援』編集:一般社団法人東京TSネット 発行:現代人文社

『更生支援計画をつくる: 罪に問われた障害のある人への支援 第2版』編集:一般社団法人東京TSネット
発行:現代人文社

養成研修でもテキストとして使用しています!ソーシャルワーカーと弁護士が協力して行う「入口支援」という新しい支援のかたち。刑事裁判の流れから更生支援計画の立て方まで豊富な参考書式をもとにわかりやすく解説しています。第2版では、その前提となる様々な知識や参考書式・更生支援計画の例も大幅に増量して解説しています。書店やオンライン書店で購入いただけます。