東京TSネットの活動内容

更⽣⽀援コーディネーターの養成・質の向上・普及

罪に問われた障害のある人への支援を担う
「更生支援コーディネーター」の養成をしたり、
その活動を支える取り組みをしています。
また、このような取り組みが各地で広がるよう
普及啓発を行っています。

更⽣⽀援コーディネーターの
養成

更⽣⽀援コーディネーター養成研修

更生支援コーディネーターになるためには、年1回8月に開催される「更生支援コーディネーター養成研修」を受講します。受講要件は、相談支援業務の経験がある福祉専門職等で、週1日程度コーディネートの支援活動ができる方です。
養成研修では、更生支援コーディネーターの活動のポイント等について講義を受けた後、事例を用いた演習を行い、グループワークを通して実際に更生支援計画を立案する体験をします。さらに、実際の裁判をイメージした法廷教室で模擬裁判演習を行うなど、実践に近い形で研修を受けることができます。
※講座当日の流れやスケジュールの例についてはおってアップします

養成研修の受講者の声

隠村美子さん

臨床心理士としての経験はありましたが、福祉や司法については知識不足でしたので、更生支援コーディネーターをできるのか不安をもっていました。しかし、養成研修を通じて知見を得ることができ、その不安は払拭されました。また、裁判を想定した証人尋問の実演は、その後、実際に証人尋問に立ったときにとても役立ちました。養成研修を受講して、更生支援をするために必要な知識と考え方、そして何よりもその理念にふれて、共に貢献していきたいと思いました。(おのむら・よしこ)

青木彩香さん

更生支援コーディネーター養成研修のなかで印象に残ったプログラムは、模擬裁判です。更生支援コーディネーターが出廷することは、対象者の人生の岐路に立ちあうことです。自分の発言が対象者の人生に影響する怖さと向き合う時間となりました。また、更生支援コーディネーターは、対象者だけではなく、対象者にかかわるすべての方々に、更生支援計画の必要性が伝わるよう、伝える力が必要であることを身に染みて感じました。(あおき・あやか)

更生支援コーディネーターの
質の向上

更生支援コーディネーター継続研修

更生支援コーディネーターは、支援の質の向上のために、「更生支援コーディネーター継続研修」を年1回受講します。司法福祉に関する研究を行っているゲスト講師をお招きしたり、更生コーディネートの経験者に登壇してもらい、実際の事例について検討します。
たとえば、現在までの継続研修では、研修参加者が「話すこと」、研修参加者の「話を聞くこと」を焦点化したリフレクティング・プロセスを用いた研修を行いました。

更生支援コーディネーター継続研修の写真

継続研修の受講者の声

鴨澤真広さん

継続研修のテーマはリフレクティング。 事例提供者と講師の間で質疑が行われ、 その後グループに分かれて本人や家族、弁護人、支援者の立場で事例を検討しました。 さまざまな意見が出され、 自分だけでは導き出せないような気づきがありました。経験を積めばこそ、視野の狭さを感じることがあり、一つの考えにこだわると、 なかなか抜け出せないことがあります。ともすれば独りよがりになりがちな相談支援を行ううえでも多様な視点にふれられた貴重な一日でした。(かもさわ・まさひろ)

澤 麻衣子さん

定期的に継続研修に参加できることで、養成研修の内容の理解力をさらに深めることができると思います。継続研修の内容はリフレクティングを用いた事例検討でした。仕事柄、事例検討には参加したことはありましたが、リフレクティング自体が初めての経験でしたので、連想も広がり新たな知見を得ることもでき、とても勉強になりました。そのリフレクティングを基にして、さらにコンサルテーションを進めていきました。グループごとに異なる専門性を持つ方が参加をされていたので、多職種の方の視点もたくさん知ることができて新しい発想や気づきも得られました。とても良い機会だと思います。(さわ・まいこ)

更生支援コーディネーター座談会

3か月に1回程度、コーディネーターが集まり、それぞれの経験などを自由に話して共有する場です。ケースを受任するうえで、難しかった点やうまく進んでいること、事務的なことなど、話題の内容は何でもありです。司法福祉はまだ新しい分野であり、ケースについて身近に聞ける機会は、それほど多くはありません。実際にケースを受任しているコーディネーターから情報を得ることで、よりスムーズなコーディネートや、質の向上にもつながります。

支援検討委員会

ケースを受任した方は月に1回、ケースについて検討する機会があります。支援検討委員会の委員には精神科医や臨床心理士、教員、障害当事者の親がいます。コーディネーターだけでなく、弁護人やケースの関係者も参加が可能で、ケースが抱える課題の焦点化や更生支援計画の作成のポイント、コーディネートの進め方など、多角的な視点でケースに対するアドバイスを得られます。ケース受任中に参加することで、多くの気づきや情報を得て、実際のコーディネートにいかすことができます。

  • 【検討委員】
  • ・宇野洋太(よこはま発達クリニック 副院長)
  • ・門下祐子(筑波大学人間総合科学学術院博士後期課程/東洋大学福祉社会開発研究センター客員研究員)
  • ・佐々木康栄(公認心理師/臨床心理士/よこはま発達クリニック)
  • ・志村陽子(おおたTSネット代表/知的障害者の親/保護司)
  • ・掛川直之(立教大学コミュニティ福祉学部准教授)

更⽣⽀援コーディネーターの
普及

講師の派遣

罪に問われた障害のある人への支援は、全国的にもニーズが高まっています。しかし、実際に罪を犯した障害者の支援をしている例は多くなく、人材の育成が課題となっています。
東京TSネットでは、更生支援を行える人が増えて、広がって欲しいという思いから、更生支援コーディネーター養成に関して、講師の派遣を行っています。
当法人では、比較的早期である2013年から更生支援コーディネーター育成システムの構築や運用をしてきました。そこで培った知見をできる限り全国のさまざまなところで活用していただきたいと考えています。
現在までもいくつかの自治体や社会福祉士会等で講師としてお招きいただき、更生支援コーディネーター養成講座を行ってきました。
養成講座等の実施を検討されている場合には、まずはメールにてお問い合わせください。

書籍『更生支援計画をつくる 第2版』

『更生支援計画をつくる: 罪に問われた障害のある人への支援』編集:一般社団法人東京TSネット 発行:現代人文社

『更生支援計画をつくる: 罪に問われた障害のある人への支援 第2版』編集:一般社団法人東京TSネット
発行:現代人文社

養成研修でもテキストとして使用しています!ソーシャルワーカーと弁護士が協力して行う「入口支援」という新しい支援のかたち。刑事裁判の流れから更生支援計画の立て方まで豊富な参考書式をもとにわかりやすく解説しています。第2版では、その前提となる様々な知識や参考書式・更生支援計画の例も大幅に増量して解説しています。書店やオンライン書店で購入いただけます。