2019年度連続セミナー第4回レポート

2019年度東京TSネット主催連続セミナー「生きづらさを抱えた人をささえる」
第4回「野澤和弘presents メディア×司法×福祉~東大生はなぜ福祉の世界へ~」レポート

2020年3月14日,日中雪も降るほどの寒さの中,今年度最後のセミナーに60名の方が参加してくださいました。今回は弁護士,福祉職だけではなく,当事者・家族,メディア関連の方,学生の方にもご参加いただき,様々な視点での意見交換ができました。ご参加いただき,ありがとうございました。

第1部は「東大生が福祉を仕事に選んだ理由」というテーマで,「障害者のリアルに迫る」東大ゼミの運営を経験し現在福祉の道へ進んだ,御代田さんと今井さんの登壇でした。福祉の道に進むきっかけとなったゼミでの出会い,実際の現場での出会いなど,まさにお二人にしか語り得ないライフストーリーを語っていただきました。福祉とは,自分の感覚を使って知っていく仕事であり,多様な人を肯定する仕事と表現し,お二人とも福祉の仕事の多様さを「おもしろい」と捉え「楽しみたい」と話されていたことが印象的でした。また,お二人の話を受けて,野澤さんからは「青年よ,荒野をめざせ」というメッセージと共に,自分の中に「中心」をつくることが,福祉に限らず今後の社会において求められることが指摘されました。

第2部では現在大学院でメディアについて研究をされている北村さんと,メディア関連で働かれている山本さんが登壇され,続いて現在東京大学法学部に在籍している山本さんと向井さんにご自身のライフストーリーからそれぞれの切り口で障害・福祉について語っていただきました。二項対立では伝わらない多様性や揺らぎ,言葉だけのやりとりである裁判という場への違和感・嫌悪感など,興味深く率直な問いもあり,第3部のフロアとのディスカッションに大きな影響を与えたセッションでした。第2部の最後には野澤さんから,TSがどのような背景で生まれたのかなどを説明していただき,野澤さんからしか聞けない内容も多く盛り込んでお話をしていただきました。

第3部の登壇者のパネルディスカッションでは,フロアからも積極的な発言もあり様々な立場の方からの考えや意見を伺うことができました。ある参加者からの質問について,人との関わりにおいて「絆は傷を含む」と話されていた今井さんの言葉や,別の参加者からの以下の言葉が非常に印象的です。

命に関わることも,軽い関わりもある。
当事者だからわかることもあるが,当事者でもわからないこともある。
二項対立ではなく,グラデーションのように繋がっている。

グラデーションというのは白でも黒でもグレーでもなく,濃淡とその色の組み合わせ,その方向も自由です。このグラデーションのある未来を東京TSも一緒に作っていきたいと思える1日でした。

来年度も東京TSネットでは連続セミナー,事例検討会,更生支援コーディネーター養成講座,当事者の方との活動を行っていきます。
来年度の1回目のセミナーは,6月6日(土)14:00~17:00,「刑事手続入門(仮)」をテーマに開催予定です。これまで参加したことのない方もぜひご参加ください。

今回も会場は株式会社TKC様にご提供いただきました。新型コロナウイルスの影響もあり特別にご配慮いただきました。株式会社TKC様,ありがとうございました。
また,今年度の連続セミナーは,草の根市民基金・ぐらん様からの助成金によって開催させていただきました。ありがとうございました。

また,皆様とお会いできるのを楽しみにしております。(文責:大嶋・青木)

 


※本年度の連続セミナーについては、草の根市民基金・ぐらんの助成により実現しています。