東京TSネット主催2020年度セミナー「性のトラブルと向き合う」レポート

2020年12月12日,東京TSネットの2020年度セミナー第3段である,「性のトラブルと向き合う」が開催されました。

最初に,山﨑康一郎さん(日本福祉大学社会福祉学部准教授・司法心理研究所嘱託研究員)から,「性問題行動のある知的障害者の理解と支援」というテーマで講演をいただきました。山﨑さんからは,性加害行為の理解として,性的欲求というのは性加害行為を行う人の動機の一つでしかなく,その背景には,別の動機が絡むことが多いというお話がありました。

その上で,本人を取り巻く環境の要因や本人自身の要因等の視点からのアセスメントを通して真のニーズを見立て,それに従って支援が行われていくことになります。
また,実際の介入手法や,心理教育における個別とグループでのプログラムについても紹介をいただきました。
性的な欲求の問題,止められない・得体の知れない問題のようにとらえられがちな性加害行為について,その動機や背景にあるニーズをとらえて支援していくという視点は,とても重要なものと感じられました。

次に,東本愛香さん(千葉大学社会精神保健教育研究センター特任講師)から,「性犯罪の加害者に向き合うって」というテーマで,性犯罪に対する刑務所や保護観察所でのプログラム,実際に支援に関わっていく際の考え方等についてのお話をいただきました。
東本さんからは,再犯防止プログラムの中で採用されている認知行動療法の紹介として,きっかけや対処に目を向け,危害を加えたくならない(自分が失いたくないような)日々を獲得する,そのための価値観や材料を提供するといった考え方についてお話がありました。
また,内容・態様的にどうしても共感できない・対処ができないように思われる事案に関わる時のツールや考え方についても紹介がありました。行為は否定しつつも,価値は尊重すること,リスクを考えるときにもそこから保護してくれるような要因を考えることなど,その人自体を否定しないでとらえていく考え方を行うことが非常に印象的でした。

最後は,会場やZoomでの参加者の方からの質問に,山崎さんと東本さんに答えていただく形をとりました。
沢山の方から質問をいただきましたが,ある程度障がいの程度が重い方の場合や,衝動性が強い方の場合の性加害への対応など,福祉の現場で抱えている悩みが見える質問から,同性間での性加害のケース,SNS等を介して自ら性被害へと近づいていってしまうケースなど,新しい視点に関する質問などもなされました。
今回も,会場は株式会社TKC様にご提供いただきました。会場の密集を避けるため,ウェブ配信との併用で実施させていただきましたところ,会場でも,様々なご配慮をいただきました。株式会社TKC様,ありがとうございました。

次回は,来年3月13日(土)の開催を予定しています。当法人の5周年記念ということもあり,法人に関わりの深い方々にお集まりいただき,シンポジウム形式での実施を予定しています。詳細が決定し次第,ホームページ,SNS等で告知させていただきます。初めての方も,古くから当法人に関わっていただいている方も,是非,ご参加いただけたらと思います!