(レポート)第3回東京TSネットセミナー「孤立させない!当事者も,そして家族も」

3月10日(日)、3回目となった東京TSネットセミナーを開催しました。
今回は、テーマを「孤立させない!当事者も,そして家族も」と銘打ち、触法やトラブルを抱える当事者の「家族」に焦点を当てたセミナーでした。
当事者の親、福祉施設職員、弁護士等、40名を超える様々な立場の方にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。当日の様子を少し、ご紹介します。(文責;中田)

各地での連携の取り組み

野原郭利弁護士(千葉県弁護士会)

野原郭利弁護士(千葉県弁護士会)

山田英男弁護士(神奈川県弁護士会)

山田英男弁護士(神奈川県弁護士会)

理事の山田恵太弁護士

理事の山田恵太弁護士

午前中は、野原郭利弁護士(千葉県弁護士会)、山田英男弁護士(神奈川県弁護士会)から、千葉、神奈川における司法と福祉の連携の状況を紹介してもらいました。東京TSネットからは、理事の山田恵太弁護士が東京での活動の報告がありました。
それぞれの地域で、財源の問題、マンパワーの問題等を抱え、連携の中身にも課題がありつつも、この数年間で、触法障害者支援のための連携が確かに進んでいることが改めて感じられました。

基調講演①

「犯罪加害者家族の孤立を防ぐ」
特定非営利活動法人World Open Heart代表 阿部恭子 氏

特定非営利活動法人World Open Heart代表 阿部恭子氏

特定非営利活動法人World Open Heart代表 阿部恭子氏

午後は、基調講演が二本立て。まず、阿部恭子さんから、「犯罪加害者家族の孤立を防ぐ」と題して、加害者家族支援に取り組む特定非営利活動法人World Open Heartの活動紹介と、そこから見えてきたことをお話しいただきました。加害者家族が、どんな問題に直面し、どのようなルートで支援にたどり着いているか、それに対して、捜査段階、公判段階、判決後の支援としてどのような支援が展開されているか、何が足りないか、参加者に分かりやすく伝えていただいたのではないかと思います。
変わらなければならないのは、家族ではなく社会ではないか?という阿部さんの訴えが心に残りました。

基調講演②

「ペアレント・メンター活動~障害のある人の親による親支援」
鳴門教育大学大学院准教授 小倉正義 氏

鳴門教育大学大学院准教授 小倉正義氏

鳴門教育大学大学院准教授 小倉正義氏

続いて、小倉さんからは、「ペアレント・メンター活動~障がいのある人の親による親支援」と題して、ペアレント・メンター活動についてお話しいただきました。
ペアレント・メンター活動は、発達障害者支援法に謳われた発達障害者の家族等への支援の一つですが、親の会の活動等を熱心にされてきた参加者にとっても、なじみの薄いものだったようで、新しい発見をされた方が何人もいらしたようです。
小倉さんからは、この活動を通じて、どんなコミュニティを私たちは作りたいか?が問われているという指摘がありました。障がいがある人やその家族にとって過ごしやすい社会は、誰にとっても優しい社会だと考えられ、そのようなコミュニティを形成するための工夫が求められているのだと感じます。

シンポジウム「孤立させない!当事者も、そして家族も」

シンポジウム「孤立させない!当事者も、そして家族も」

シンポジウム「孤立させない!当事者も、そして家族も」

最後に、阿部さん、小倉さんに、東京TSネット代表理事及川をシンポジストに加え、シンポジウム形式で話を深めました(コーディネーターは、東京TSネット理事の中田が担当しました)。
参加者に、二つの基調講演を聞いて感じたことや疑問点等をペーパーに書いて休憩時間中に提出してもらい、シンポは、それをテーマ毎に分けて話す形で進行されました。
阿部さんの講演では、法的支援、心理的支援、社会的支援が必要であることが説かれ、小倉さんの講演でも、本人のライフステージに応じて様々な家族支援が必要であることの説明がありましたが、参加者の関心を集めたことの一つは、これら多様な支援ニーズを誰が担うか?ソーシャルワーカーや弁護士は、どのように係わればよいかという担い手・役割分担の問題でした。
また、一口に家族と言っても、母親と父親に意見の違いや対立があることもあり、そのような家族間の葛藤とどのように向き合うか、また、支援者にとっては、家族と本人の意思が一致しない場合の家族の位置付けに戸惑うこともあるようで、距離の取り方に関する疑問等も出されました。
印象的だったのは、シンポの中で、何度も、「マイノリティ」という単語が出てきたことです。触法障害者支援という東京TSネットが取り組む領域の中で、活動を拡げ、豊かな支援を展開していくためには、支援者も、「犯罪」、「障害」というある意味二重のスティグマにどう向き合うか、自らの立ち位置や社会との距離間を見極め、それを適切に調整していくことが必要とされていること、また、よりよい支援を展開するために、それを担う人及びシステム両面での充実が必要とされていることが改めて確認できました。
「家族支援」という、ややマイナーなテーマを扱ったセミナーでしたが、予想以上に多くの方に参加いただき、議論するなかで、その重要性を訴えることができたのではないかと思います。
講師の先生、参加者の皆さま、ありがとうございました。