事例2-23 息子がメイドカフェで暴れて、被害届が出されてしまいました。今後の対応はどのようにすればよいでしょうか?

発達障害のあるAさん(20代・男性)は、大学に入学したのですが、友達ができずに悩んでいました。女性と話がしたいと、メイドカフェに通うようになり、そこで気に入った女性と会話することを楽しんでいました。それから数年後、気に入ったメイドカフェの女性がお店を辞めてしまったのですが、女性が辞めたことが納得できなかったAさんは、店のテーブルを思いっきり蹴り破損させてしまいました。
お店側は、警察に被害届を出しました。
Aさんに対して、家族はどのような対応をすればよいのでしょうか?

【事例の意図】

障害のある方が地域で暮らすなかで「加害者」となってしまったとき、法的な対応が必要なことは言うまでもありません。それに加え、今後も本人が地域で暮らしていくためには、周囲がこの事件をどのように受け止め、本人と関わるべきなのかを考えることも必要です。そのために①事件が社会的にはどのように位置づけられるのかを理解する(弁護士の視点)、②本人の障害特性をふまえた今後の支援を検討する(福祉の視点)という2つの視点からアプローチすることが重要です。

【弁護士の視点から】

家族の対応としては、弁護士に依頼してお店に被害弁償を申し入れたり、Aさんを家に迎え入れた上で、二度と同じことをしないようAさんと福祉や医療の専門家とをつなげたりすることが考えられます。
Aさんがしたことは器物損壊罪(刑法261条)にあたります。また、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する可能性もあります。いずれにせよ犯罪ですので、きちんとした対応をとらなければ重く処分されてしまうかもしれません。
器物損壊罪や威力業務妨害罪のような被害者がいる犯罪の場合、処分を軽くするためには、被害弁償をすることが重要です。家族としては、被害弁償金を立て替えた上、弁護士を通じてお店に被害弁償を申し入れることが考えられます。
また、処分を決める上では、再び同じことをさせない環境を整えることも重要な意味を持ちます。本件に関して言えば、Aさんと福祉や医療の専門家とをつなぎ、感情のコントロールの仕方を学んでもらうことも必要だと思います。
被害弁償に向けた努力や再犯の防止への取り組みは、弁護士を通じて検察官や裁判所に明らかにして行くことになります。

(弁護士 師子角允彬)

【福祉の視点から】

友達ができずに悩んでいたAさんにとって、この経験が人間関係の失敗経験として残ってしまうことは、今後のAさんにとって望ましいことではないでしょう。責めたり非難したりすることは避けた方が良いかもしれません。友達ができずに悩んでいたけれども自分から行動に移して他人と積極的に関わろうとしたことについては評価しつつも、感情のコントロールができずにテーブルを破損させてしまったことは良くないことである、というように、良くなかったところがどこなのかを明確に示す必要があるでしょう。さらに、感情のコントロールをする工夫を事前に話しておくのも良いかもしれません。イライラしたらまずは深呼吸を2回してみる、とか、好きな写真を持ち歩いてそれを見るようにするなど、具体的ですぐにできる方法をAさんと一緒に決めておくと良いかもしれません。

(地域活動支援センター 職員)

【参考リンク】

◎発達障害の情報
「国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター」
http://www.rehab.go.jp/ddis/