2015.08.26定例会 窃盗をした少女にどのような働きかけが考えられるか

事例概要

Dさんは17歳の女の子で、罪名は窃盗です。
地元のドラッグストアで化粧品と食料品(時価相当額1000円程度)を摂取しました。
Dさんは、窃盗をした理由について「欲しかったからやった。」と話しています。
一方で、Dさんは「外に出たらまたやってやる。」等と言っていて反省している様子はあまり見られません。
Dさんは、障害者手帳等は取得していないようですが、話しぶりから同年代のこと比べると少し様子が違うようにもみえます。
付添人弁護士としては、今後Dさんのためにどのような働きかけが考えられるでしょうか。
また、どのような関係機関等への支援、協力要請が考えられるでしょうか。

事例の意図

弁護士にとっても福祉関係者にとっても、成人の刑事事件に比べてあまり接する機会が少ないのが少年事件です。少年事件における手続の流れや実務の現況を確認しあうと共に、少年事件特有の期間の短さ、秘匿性が強く求められる中での情報の少なさという制限の中、どのようなアプローチが考えられるかを改めて問いていきたいと思います。

検討結果

検討会では、自身が付添人弁護士あるいは更生支援コーディネーターになったと仮定して、本人について知りたいことを講師に質問する形で進めていき、その後、収集した情報からどのような働きかけが考えられるのか議論しました。

◆議論の中で参加者から出た質問事項

事件に関する質問をはじめ、「学校に通っているか?」「家ではどんな生活をしているか?」といった生活状況・生育歴に関する質問や、「家族構成は?」「家族との関係は?」といった家族に関する質問、「どんなときに楽しいと感じるか?」「将来の希望は?」といった本人の気持ちに関する質問が出ました。
実際の場面では、家族からの聞き取りや、児童相談所等の過去に本人に関わった機関から情報を得ることが多いとのことでした。

◆得た情報から考えられる働きかけの内容

帰住先については、本人は自宅に戻れたらいいと述べているが、同居していた親族から長年虐待を受けており、直ちに自宅に戻っても監護が期待できず、生活能力も劣っているので、児童福祉とSST等の支援の両方を兼ね備えた施設に入所することが望ましいという意見が出ました。
また、障害に対する働きかけについては、不登校による学習の遅れがあるが、知的障がいはなさそうなので、療育手帳を取るのは難しい。他方、ものへのこだわりが強いことから発達障害の疑いが考えられ、精神障害者保健福祉手帳はとれるかもしれないという意見が出ました。
そして、長年の虐待経験や親族との関係、本人の発言等から、愛着障害のおそれがあり、支援者として信頼できるキーパーソンが必要であるという意見も出ました。
今後の可能性としては、

  • 親族が最終的にはキーパーソンになることも考えられるので親族に対する支援も重要であること
  • 本人の内側にある感情を外に出させる工夫が必要であること
  • 単身等で生活する障害者が地域生活を継続するために、専門的知識と経験を有する「自立生活アシスタント」が、具体的な生活の場面での助言やコミュニケーション支援を行うというサービスを利用すること
  • 社会的教育の場を提供すること
  • フードバンクのネットワークを活用すること

といった意見が出ました。