2015.07.15定例会 騒音トラブルを起こしてしまうCさん~地域での暮らしを支える

事例

Cさんは、知的障害(IQ64、言語性65 動作性77)をともなう自閉症と診断され、愛の手帳4度を持つ35歳の男性です。元は実家で母親と二人で暮らしていましたが、自立に向けて半年前からアパートで一人暮らしをしながら作業所に通っています。
Cさんは、自身の想定外のことが現れると、一時的にパニックを起こす事があります。地団太を踏んだり、壁を叩いたり、玄関ドアを激しく開け閉めするなどして、近所から苦情が寄せられるようになり、ある日、夜間にパニックを起こしたところを警察に通報され、パトカー数台・警官十数人がやってきて、ますます落ち着いた生活ができなくなってしまいました。
相談支援センターの支援者達は、本人の特性を伝え、常に騒音を出しているわけではなく、安定した状態であればなんら問題はないことを理解するように呼び掛けています。また、安定した状態に至るまでの期間は、近隣の方々の協力を求めています。
しかし、退去を求められてもCさんは他へ行くところがありません。警察は、支援者の説明により事件性はない判断と判断し、住民相互の関係で解決するようにと伝えるのみでした。アパートの大家さんはCさんの支援に理解は示しているものの、「これ以上大事になるようなら・・・」と対応に困っています。Cさんが今のアパートで住み続けられる方法はあるのでしょうか?

事例の意図

障害特性を知っていれば納得できる言動も、情報がなければ近隣住民が不安を感じてしまうことも無理はありませんし、理由を聞いて頭では納得できても、我慢の限度を超えるような状況が続けば、やはり地域で暮らしていくのは難しいと思われてしまうこともあるでしょう。地域住民の理解を得つつ、本人の権利を尊重しながら対応策を考えなければなりません。

検討~こんな意見がでました

弁護士の発言

  • 本人の行為は、刑事上は、軽犯罪法違反等にあたり得る。
  • 民事上は、家で騒ぐことが用法遵守義務違反にあたるとして、賃貸借契約を解除されうる。
  • 地域住民へのアプローチ方法については、弁護士はあまりノウハウがない。

福祉専門職の発言

◯地域住民へのアプローチ

  • アパートの住人も、本人だけを責めても解決につながらないと感じているだろう。
  • 付近住民に安心してもらうためには、相談支援センターをどのように活用するか明らかにするなどして、情報提供をする。
  • 支援者は、キーパーソンを把握しておき、「何かあったときは私に連絡してください」と伝えておくなどすることができる。
  • 町内会長や民生委員の助けを借りることもできる。
  • 受け入れてもらうためには、一人暮らしに至るプロセスを十分に説明する必要がある。

◯地域での一人暮らしを支える支援

  • この地域にどんな資源があるか。
  • 4度の人にとっていきなり一人暮らしはキツいかもしれない。
  • まずは、宿泊型自立訓練やグループホーム体験をしてもらって、一人暮らしの仕方を学ぶ機会を挟むべきだったのでは。
  • 一人暮らしに移った後は、フォローアップが必要だ。
  • 本人の望む生活を実現するために、どんなステップを踏むか。それを考えなければならない。

◯パニックを未然に防ぐ

  • 本人にとっての「想定外のこと」を把握して、そのような状況に陥る危険を減らし、パニックを防止することも大事だ。

◯質問:損害が生じた場合、親の監督責任は生じるのか?

→弁護士の回答:そもそも、親が監督責任を負うのは、本人に責任能力が認められない場合のみだが、本件では責任能力はありそうだ。もし責任能力無しとしても、同居すらしていない親の監督義務違反が問われる可能性は低い。